Written By: 遠野秋彦
遠い南のアマヤ島からトリが旅をしてきた。あるとき、山中で雨に降られてトリは廃屋に逃げ込んだ。すると先客がいた。
「こんにちは。あなたは肉食? 僕を食べる気?」
「俺は狼。肉食だけど、ルールは守るよ」
トリはホッとして一息ついた。雨宿りに争いは持ち込まないのが国際ルールだ。
しかし、雨が上がる頃には狼は満腹していた。
「獲物は騙してでも美味しく食え。これが狼のルール。仲間に褒められるいいことしたなあ」
狼はポイと最後の骨を投げ捨てた。
(遠野秋彦・作 ©2011 TOHNO, Akihiko)