2011年11月03日
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三百字小説『Amaya鳥』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 遠い南のアマヤ島からトリが旅をしてきた。あるとき、山中で雨に降られてトリは廃屋に逃げ込んだ。すると先客がいた。

 「こんにちは。あなたは肉食? 僕を食べる気?」

 「俺は狼。肉食だけど、ルールは守るよ」

 トリはホッとして一息ついた。雨宿りに争いは持ち込まないのが国際ルールだ。

 しかし、雨が上がる頃には狼は満腹していた。

 「獲物は騙してでも美味しく食え。これが狼のルール。仲間に褒められるいいことしたなあ」

 狼はポイと最後の骨を投げ捨てた。

(遠野秋彦・作 ©2011 TOHNO, Akihiko)

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